3月。別れの季節。
ということで、「卒業」をテーマに、思い出話をしたり、卒業ソングを歌いました。
みなさんの記憶がよみがえるきっかけになったらいいなと思い、わたしいろんなグッズをタンスの奥から引っ張り出してきましたよ~。
小学校の卒業証書。
ちゃんと卒業しててよかった。
中学校の卒業アルバム。
25年ほど前になりますね。恥をしのんでみなさんに公開。
卒業式で歌った歌は?と尋ねると、世代によって違うんですよね~。
40代以上の方は、やっぱり「仰げば尊し」「蛍の光」でしょうか。
「乾杯」「贈る言葉」ってパターンもあるようで。
20代は、「3月9日」とか?
さらに若くなると、
もう・・・ わからない・・・。
わたしと同世代30代の方は「旅立ちの日に」ではないでしょうか?
この歌は、1991年、埼玉県にある中学校の、校長先生と音楽の先生によって作られた合唱曲です。
当時、その中学校は荒れていて、どうにかしたいと考えた結果、合唱の機会を増やすことに。当初は反発していた生徒たちも、先生たちの粘り強さに次第に心を開くようになり、歌う楽しさによって学校は明るくなったそうです。
そんな先生2人が、卒業する生徒たちに世界にひとつしかない思い出を残したい、と作詞作曲されたこの歌。その年一度きりのための歌だったのに、いい歌っていうのは自然と広まるものなんですねぇ。
SNSも盛んでない時代に。
全国へと広まって、卒業式の定番ソングとなった「旅立ちの日に」。
あの前奏を聞くだけで泣けてきちゃう・・・。
そして今でも、最初から最後まで完ぺきに歌えてしまう・・・。
卒業式の歌って、練習を含めて1~2ケ月しか歌わないですよね?
それ以前とか、以降に度々歌ったりしないですよね?
それなのに、数十年経っても覚えてるって、あらためて考えるとすごくないですか?
記念すべき日の思い出とともにある歌は、特別。
この日のはみんぐは、そんな「歌の力」を見せつけられました。
数年前のこの時期、号泣しながら「仰げば尊し」を歌われた、Oさん。
「卒業式で歌った。覚えとる。」と話されていました。
でもそれから数年、いろんなことがあり、もうOさんに音楽は届かないのかなぁ・・・って思うようになりました。
Oさんがはみんぐに参加された、この日。
わたしは、もう一度Oさんの「仰げば尊し」が聞きたい。と思いながら、活動をすすめていました。
「卒業」をテーマにしばらくトークをし、回想のサポートをした後、一縷の望みを託して、わたしは「仰げば尊し」の前奏を弾き始めました。
その瞬間がきたのは、すぐでした。
「あ・・・!」
と声を上げられたOさん。
なんの曲か、気づかれたようでした。
驚きの展開に顔を見合わせるわたしと、そこにいた職員Iさん。
「これや、これや!」と、顔をクシャクシャにして喜ばれるOさん。
同時に、
頬に流れた、
涙。
Oさんは、そのまま泣きながら、
「仰げば尊し~わが師の恩~・・・」と歌われたのです。
一番を最後まで。歌詞も完ぺきに。
日々の生活の中で、この曲を歌われたことはありません。
わたしの知る限りでは。
それでも蘇った。
Oさんの中に、この歌が残ってた。
思い出も、きっと一緒に。
そんなOさんの姿に感極まったのは、わたしだけでなく、
Oさんの横で歌詞を読みあげ続けてくれた、職員Iさんもでした。
Iさん・・・ Oさんより泣いてますやん(笑)
身震いがするほどの感動。
音楽療法をやっていると、100回に1回くらい訪れる、こういう瞬間。
たまらんのです。
あの日に。
あの瞬間に。
あの人のところに。
一瞬でタイムスリップさせてくれる、歌。
3月は、歌の偉大さを実感する季節でもあります。